2015年8月17日月曜日

広告というコトバが終わったからって、ネイティブアドの時代でもないと思う



画像:apple musicのビルボード
去年の11月に「広告というコトバは、もう終わっている感じですね -1」を書いて、すぐに続きを書こうと思っていました。ところが2014年後半からネイティブアドが急にもてはやされるようになって、現在も流行中です。
ネイティブアドが、さらに拡大していくのでしょうか。

Googleトレンドで検索すると、このように2014年の2月から始まり、今年の5月がピークです。

実際にネットメディアでは、大小硬軟問わずどこでもやっていますし、トヨタなど大手企業も使っています。 私は広告という発想は、ほぼ終わりかけていると思っていますが、それは広く知らせる、広さの程度。大多数に繰り返し何度も訴求して、購買行動を変容させる。相互のコミュニケーションではなく、一方的な伝達によってイメージを作る。などなど、広告的なセオリーや文法についてです。
スマホを操作しながら歩く人が増えているとはいえ、看板など屋外の広告で知らせるのは有効でしょうし。それでもマスメディアを使った広告も含め、効果が見えないのと、効果が落ちているのではという実感が、ネイティブアドなどになだれ込んでいるような気がします。



ネイティブアドは錯誤を狙っている?


アメリカでは検索結果の上に出る連動広告(リスティング)も、ネイティブアドの定義内になるそうですが、ネイティブアドのほとんどはネットメディアの記事の体裁と同じフォーマットで作られたもの。
必ず提供やPRというワードが上部、あるいは下部に表示されているはずです。


海外でのネイティブアドの効果について、バナー広告と比較した2014年2013年の調査をまとめたものがあります。
バナー広告の1.5倍見られる!?ネイティブ広告に関する海外データまとめ

バナーの効果が落ちて行く一方で、ネイティブアドの効果が上昇しているということですね。


一方、日本ではスマートフォンでの広告に関しての、やはり2014年の調査があります。
ネイティブ広告で騙された気分に? ジャストシステムがスマホ広告印象調査

この調査によれば、ネイティブ広告は記事と区別しにくいと否定的な印象を、合計で77.3%もの人が持っているそうです。加えてつきまとう「行動ターゲティング広告に拒否感を覚える回答者が多い」とのことです。
スマートフォンに関してですから、当然の結果かと思います。

私はパソコンでもネイティブアドを見かけると、がっかりします。信用しているネットメディアが、広告であることをはっきり打ち出さずに記事を作っていると、そのメディアへの不信感が出てきますし、広告主に対してもいい印象は持ちません。
そう、どこのネットメディアでも広告であることの表記を、わかりにくくしているのです。どころかノンクレジットのものも少なくありません。



ネイティブアドはステマ?


ネイティブアドの定義や本来のあり方がどうであれ、ステマだと考える人が多ければ、逆効果しかありません。
私はノンクレジットであっても読んでいて、他の記事でこんな書き方はしていないとか、こんなに凝った写真なんて撮っていないとか、ピンと来るポイントはいくつもあります。
逆に素直に記事だと思って読んで、影響されてしまう人はどれぐらいいるのでしょうか。

もちろん内容に有意義な情報が含まれていれば、多くの人が影響されるでしょう。ところが流行しているとか効果があるとかオススメですということだけなら、影響される人はどんどん減っていくはずです。
まずそのネットメディア自体の、アクセス数や信用度が落ちて行く。評判を重視し、ちゃんとチェックしている広告主であれば、避けるようになってくるはずです。結果、売り逃げ的な広告主が多くなり、ネットメディアは怪しげな記事ばかりになっていくという負のスパイラルが起こりかねません。

いや、こんなまどろっこしい書き方をしなくても、こちらで山本一郎さんがかなりストレートに書かれています。
サイバーエージェントなど特定企業の社員が違法なネイティブアドビジネスにぶっこんでいる件で



それでもネイティブアドは、そろそろ終わりだと思う理由


山本一郎さんも書かれていますが、今年の3月一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)がネイティブ広告のガイドラインを策定。信頼性確立のための普及啓発を推進すると発表しています。
ただネットメディア、ニュースサイトもスマホシフトは否応無しに進行します。スマートフォンのサイトで大きく広告であることを表記するのであれば、記事のフォーマットを使う必要はそれほどないのでは、と私は想像します。

どうして記事と同じフォーマットにするかといえば、読む人にストレスを与えないためと言われています。それ以上に純広告のようにイメージ中心やワンメッセージではなく、多様なメリットや使い方など説明的な部分を多く扱うことができるので、本来は広い内容で深く訴求することができるところが大きな利点だったのではないでしょうか。
しかしスマホサイトでは、広く深くはなかなか難しい。しかも自社サイトなどオウンドメディアで作った方が、はるかに丁寧にできるはずです。


残るはネットメディアの持つ拡散力。
JIAAがどれだけがんばっても、ノンクレジットやわかりにくい表記が減らなければ、法的にどうであれステマだと思う人はどんどん増えて行くだけ。記事がステマなら、ソーシャルメディアでの拡散もステマだと位置づけられるでしょう。
五輪エンブレムが盗用かどうかの判断と、過去の仕事で盗用が発覚し、多くの人がどう感じたかの経緯と同じことかもしれません。

つまりは自前でやるしか、ない。
他にも、ネットでは純粋な広告もそろそろどうなのか。やっぱり自前でやるしかなさそうだと思わせるニュースがあります。



次期iOS9で、ブラウザ『Safari』に広告ブロック機能搭載予定


Adblockなど広告を非表示にできるツールは数多く開発されていますが、なんとAppleは次期iOS9のデベロッパー向け資料に、標準のブラウザ『Safari』で広告ブロック機能を搭載予定だと書いているそうです。
iPhoneとiPadが広告ブロック機能を搭載予定。iOS9の次期Safariから

あくまで予定ですし、機能拡張なのでiPhoneを使う人のほとんどが広告ブロックを使うわけではありませんが、実際に搭載されれば、広告ブロックへの流れが加速するのはまちがいないのではと思われます。
GoogleのAndroidが広告ブロック機能を搭載するのは難しいかもしれませんが、アプリではこれからも出てきそうです。
確かにスマホの小さい画面では、どんな種類の広告だって邪魔。Appleはユーザー体験を阻害するものだと考えているのでしょう。

そうなってくるとネットメディアはもちろん、ネットの広告に依存しているビジネスモデルは、大きく変貌しそうです。
たぶん広告ではなく、自前のコンテンツと拡散の手段が最重要。そんなタイミングは、すぐそこです。




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