2013年7月24日水曜日

ソーシャルシフトとGoogle+ [その3]

[その1]では、どうしてアメリカの企業サイトは、FacebookやGoogle+、Twitter、Youtube、Pinterestなどのソーシャルメディアに誘導するものが増えてるんだという話から、モバイル端末からのアクセスやソーシャルシフトについて書きました。

[その2]では、Googleは検索上からスパムを消し去りたいと血眼になっているから、誰が書いているのか特定したい。Googleアカウント=Google+はそういう機能も担った、客観的な信用度を評価するためのプラットフォームかも。というようなことを書きました。

[その3]は、『Google+、Google+ローカルの衝撃』というタイトルにしたいぐらいです。おおげさですけど(笑) もちろんGoogleが発表しているわけではないですし、的確だったとしても現在は、という程度です。1年も経てば変わってしまうかもしれません。



◎「表参道 パンケーキ」でGoogle検索したら、こうだった



唐突ですけど、そんなキーワードで検索してみました。言うまでもなく、パンケーキは全国的にブームですし、もうピークは過ぎてますけど表参道は異常な盛り上がりでした。
え、ご存知ないですか? 実は私も食べたことありませんし、そんなに食べたいとも(笑) でも通りがかった時に行列を見て、圧倒されてました。
エッグスンシングス原宿店とカフェ・カイラ表参道は、今も行列ができてます。この記事を書くのに、昨日見てきました。雷雨になる直前で蒸し暑いのに、エッグスンシングスは30人ぐらい。カフェ・カイラは40人ぐらい並んでいたでしょうか。

エッグスンシングス原宿店とカフェカイラ表参道の行列
左がエッグスンシングスの行列。右はカフェ・カイラの看板。お店は地下です。


本題に戻ります。パソコンでオーガニック検索した結果は、こうなりました。
表参道 パンケーキで検索結果









「レインボーパンケーキ」が最上位に出てきました。右側にあるのも「レインボーパンケーキ」の、GoogleプレイスとGoogle+ローカルの情報のようです。
ところがエッグスンシングスもカフェカイラも、何ページ行っても出てきません。レインボーパンケーキも有名ですけど、それにしても、現実の街の印象からすると、けっこう違和感があります。
もちろん2番目のネットメディアには3店とも出てきますし、3番目はカフェカイラが紹介されています。紹介されているからいいじゃんという考え方もありますが、ネットメディアや一般のブログでは情報を更新してくれません。営業時間や定休日、価格が古いままのものが検索上位にあっていいのでしょうか。


そもそもパソコンで表参道のパンケーキ店を調べてから出かけるなんて、けっこう年齢が高めと考えられます。パンケーキ店を検索する主体ではないでしょうから、スマホで調べてみました。iPhoneのエミレーターでやってみました。

























パソコンと同じかと思ったら、若干異なるようです。何より、最初にGoogleプレイスが来ています。7番目にエッグスンシングスが出てきた!と思ったら、食べログのページでした。




◎「表参道 パンケーキ」有名3店の違いは、どこにある?



3店とも、まだ平日の昼間から行列が出来ているのですから、まだ大きな影響はないかもしれません。でもパンケーキブームに陰りが見え始めているのだとすると、この検索結果は、これからの来店客数に影響が少なくないと考えられます。
ネットメディアに店名が出て来る数店はまだしも、取り上げられないお店にとって、検索結果は致命的です。

なぜレインボーパンケーキはネットメディアを押さえて1位で表示され、それ以外のお店は出てこないのでしょうか。上記の3店をGoogle対策という視点をメインに、外からわかるところを比較してみます。


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■レインボーパンケーキ
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・Google プレイスに登録されている
PCで右上に表示されているのはGoogleマップに、情報が登録されている証拠。かつては(たぶん4、5年前まで?)は電話帳から、情報を取って来てGoogleマップに表示させていたらしい。今はハガキか電話で本人確認。法人でもなんでも、とにかく個人に紐づけられたGoogleアカウントが必要。


・Google +ローカルを整備されている?
Google +ローカルのページがあり、そこに登録されている写真がすべてオフィシャルのもののようなので、自分たちでコントロールされているのかもしれません。


Google のクチコミが書かれている
Google +ページは作られていないけど、Google アカウントを持つ人のクチコミが、8件書かれている。またGoogle +内で検索すると、画像付きの投稿が30ほどある。


・Bloggerでブログを書かれている
Bloggerでなにか書いたからといって、特に検索上の効果はないと思います。そこまでしているのに、Google +ページをお持ちじゃないということは、Googleを特に意識されていないんでしょう。連動して初めて、意味が出てくるのでしょうし。


・店名に「パンケーキ」が入っている
当然すぎるほどですが、店名にキーワードが入っているのが一番強い。SEOという対策以前の強みですよね。


・Facebookの投稿がうまい
1週間に1回程度と頻度は高くないものの、取材されたことや天気、定休日や食材についてなど、手作り感のある親近感の持てる投稿をされている。食材については、べーキングパウダーが苦みなくアルミニウムフリーだったので採用しましたとか、安心感につながる内容でていねいです。




「比較してみます」と書いたものの、勝手に調べて、なぜというところを書くのは気がひけます。それなりに理由がわかりましたが、レインボーパンケーキと、エッグスンシングス原宿店/カフェ・カイラ表参道の2店は、そんなに違いがないんです。それぞれGoogle プレイスに登録されていますし。

違わないどころか、エッグスンシングス原宿店はGoogleにお金を払って撮影してもらうお店フォトというGoogleストリートビューの店内版もおやりになっていますし、Google+ローカルのページには47件のクチコミまで書かれています。
カフェ・カイラ表参道はGoogleプレイスで、ウェブサイトと同様に「焼きたてのパンケーキのお店 カフェ・カイラ」という戦略的なタイトルを付けられています。Google +内で検索すると、レインボーパンケーキと同様に画像付きの投稿が30ほどあります。Facebookでは、レインボーパンケーキ以上の頻度で投稿されていますし、いいね!も数多く獲得されています。



Google対策としてもSEOやソーシャルメディアでの施策も、レインボーパンケーキが少しずつ上回っているところが多いと考えられるものの、抜きん出ているわけではないように思えます。
なのに、どうしてレインボーパンケーキが検索結果では抜きん出ているのか。



従来のSEO的な視点だけなら、競合店よりもまず、関連情報のボリュームもアクセス数も多いパンケーキを特集したネットメディアや口コミサイトなどが、完全に上位を独占するはずです。でもその内容が的確かどうか。コピペをベースに適当に加工して作ろうと思えば、いくらでも作れます。口コミサイトのクチコミという“評判”が、信用出来るかどうか。
やはり、Googleは、身元のはっきりしているGoogle プレイスやGoogle+ローカルに登録しているところを上位に出したいと考えているのではないでしょうか。単純に[1. Google対策][2. SEO][3. ソーシャルメディア]と分けて考えると、3店とも、ネットメディアや口コミサイトより上回っているのは1と3。2は圧倒的に負けています。


そして現在のGoogleのアルゴリズムだと、ネットメディアや口コミサイトよりも上位に表示することができるほどの評価はレインボーパンケーキだけだったということでしょう。
違う言い方をすれば、すでに1と3で、2をひっくり返すことが出来ている。
レインボーパンケーキも意図して、Google対策をされているわけではなさそうです。どう考えても、少しの差の積み重ねとしか思えません。ということは、他の2店がひっくり返すことも簡単かもしれませんし、今の順位は明日にも変わっているかもしれません。


もしかしたら、Google+ローカルのことをご存じないのかもしれません。Google+ローカルの右下「これはあなたのビジネスですか?」でコントロール出来るはずです。






ユーザーからしても、スマホで検索した時に、Googleマップに直結する信用のある情報が優先されるのは、いいはずですよね。
別に、そのお店の公式サイトに行かなくてもいい。ことお店や商業施設なら、そのうちGoogle+ローカルで完結してしまうかもしれません。






[その4]に続く


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勝手に調べて勝手に書いたので、おわびに宣伝になるリンクや動画も貼っておきます。
◎レインボーパンケーキについてのGoogle +内の投稿です


◎エッグスンシングス原宿店を紹介している、雑誌ノンノのYoutube動画です。



◎カフェ・カイラのハワイ本店を紹介しているYoutube動画です。




2013年7月18日木曜日

関係を作ることばと、リコメンド

今回は、広報のことばと、POPのことばについて書いてみます。同じような発想で考えるべきだと思いますが、前者は顔が見えることでリスクが増大し、後者は顔が見えそうなリアルな言葉で琴線に触れることができると言えそうです。
その繰り返しは、ボディブローのように効いて来そうです。




マッチョなことばで、迷走する広報。







プレスリリースは、メディアに取り上げてもらいやすくするための資料。核は言葉ですけど、ほんとうに広報として考えられているのかと疑問を持つことがあります。
テレビで企業トップが新商品の記者発表をされているのを聞いていても、ビジネスプレゼンテーションのようで、まるでIRかと思う時もあります。マッチョなビジネス上の論理やマーケティングで語られていると、ターゲットは誰なんだろうと首を傾げます。



具体的にどんな例があるのか取り上げたいと探してみたのですが、どうも差障りがありそうだよねと躊躇してしまいます。
先月、これだけ取り上げているから、多少はバランス取れていいんじゃないと、勝手に言い訳して書いてみます。マクドナルドの原田社長の会見は、いろんな経済紙・誌に出ていました。週刊ダイヤモンド7/6号によると、高価格帯クオーターパウンダーの連続投入で「新しい顧客を開拓したい」と発言されたようです。

画像:週刊ダイヤモンドの記事


まるで以前からお客さんたちは、高価格帯の対象ではないようなフレーズで、ちょっと不思議です。「お客さまに、新しい価値をご提供したい」でいいと思うのですが、あえて「新しい顧客」と言ってしまうのはどうしてでしょうか。たぶんセグメントしていくと、価格の安さと素早くバーガーを提供するというところに価値を感じるお客さんばかりだと、利益が出ない。だから、もっとお金を使ってくれる層を開拓したいということなんでしょう。

いつもは安いバーガーを食べている人でも、たまには数倍以上する高価格バーガーを食べてみたいと思ってくれるかもしれません。なのに、そこを切り捨てて考えられている。利用者をクラスターとして考えた経営発想なんでしょうけど、マーケティングとしても広報としても、私は配慮が足りないという気がします。

経済誌だから、ビジネス用語、ビジネスの論理で語ればいいのでしょうか。食べ物というエモーショナルなものを提供している業態だという認識が弱い方なのではという気がします。マクドナルドほどの規模になれば、社長がどこのメディアで語ろうとも、引っかかる言い方があれば、即座にネガティブな共有をされてしまいます。今回ぐらいのことは話題にもなっていないようですが、これまでにネット上で炎上してしまうような失敗を何度もされ、評判が悪いといっていいと思います。

ユニクロの柳井社長も、たびたび経営の論理一辺倒の発言で、反感を買っています。もしかすると確信犯かもしれませんが、ユニクロを買っている人たちは、大企業の経営層ではないので、矛盾したような発言が少なくありません。
マクドナルドもユニクロも、ネット上で炎上しても、さほど売上に影響していないのかもしれません。それほどの大きな規模の商いなので、左右するほどのダメージではないのでしょう。でも確実に影響があると思うのは、人の採用。両社に就職しようと考える人なら、検索して様々な情報を調べているはずです。



社内でたびたび怒るのですが、ウェブやIT系だと人のことを「リソース」とか「アサインする」という言い方が普通です。完全に数字化された部品とかパーツのように。私はとても違和感があって、社内では使うなと言います。自分がリソース扱いされたらとか、想像もしないのかもしれません。


ネット時代だからということだけではなく、「買いたくなる商品を売っている企業」と「働きたくなる企業」は、かなり重なって来ているはずです。



顔が見えるような、想いの注入されたことば







「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」というキャッチフレーズの本屋大賞は、面白いに違いない!と思わせてくれる仕組みですよね。
本屋大賞以外でも、リコメンドの手書きPOPを書いている書店が多くなりましたが、残念ながら私は面白そうだと思ったことがありません。たいがい本の紹介文に近いもので、そんなことはカバーのどこかか、前書きを読めば似たようなことがあるじゃん、と思ってしまいます。手に取らせる効果があればいいのかもしれませんが、カバー周りや前書きを立ち読みしても伝わってこない、ピンポイントで「ここが面白い!」とか、深みや独自性みたいなことを教えてくれた方が、私なんかは買ってしまう確率が高くなります。一度書店に立ち寄れば、必ず何冊かは買うので、吟味している暇はなく、ほとんど直感なので、直感を後押ししてくれることばを求めています。
要約なんていらないから、本に詳しいあなたのことばを参考にしたいんです。

Amazonの、圧倒的な品揃えのロングテール。「この商品を買った人はこんな商品も買っています」などのリコメンドエンジンやカスタマーレビューに対抗して、リアル書店が生き残るためには、まずそこでしょう。ベストセラーや売れ筋なら、それだけ書いて、目立つ場所に置いておけば売れます。でも「本に詳しい書店員さん」ならではの声が聞きたいと思っている本読みは、少なくないはず。
私はAmazonのカスタマーレビューを参考にしたことは、まったくありません。その人がどんな人なのか分からないし、感覚を信用できるかどうかを判断するためには、その人の他のレビューまで読むはめになります。
口コミグルメサイトでもそうですが、安易な書き込みが営業的なダメージになったりします。操作されていたことを知ったり、匿名の集合知は信用されない方向に行くのではないでしょうか。



書店と同じようなことは、スーパーの成城石井などでも思います。普段は行きませんが、ひとりで行くことになると、珍しい商品が多くて、へーへーと驚きの連続です。
でも珍しい高めの商品を買うことは、まずありません。そういう商品に付いているPOPには「久米島産の◯◯使用」みたいなことが書いてありますが、久米島だから空気も水も土壌もいいんだろうなと思いますが、「だから何?」というところがさっぱりです。「久米島産の◯◯を使っているから、たっぷりミネラルで繊細な自然の甘み。疲れたカラダに美味しいです!」みたいなことが書いてあれば、よーわからんなと思いながらも私は買うでしょう(笑)

産地が本当か、安全かどうかは、お店の信用度。それ以上の動機づけが、価格と対応するはずです。そんなことで納得してしまうのは、料理をしないおっさんだけかもしれませんが(笑)
だけど主婦だけをターゲットに考えるマーケティングなんて、もうあり得ないでしょう。メインターゲットじゃなくても、アップセルが可能なのであれば、とても重要です。




タワレコメン

詳しい人が、想いを込めて書いたPOPといえば、私の知る限り、タワーレコードが一番。でもこのPOPは書いたじゃなくて、「描いた」ですね。
え〜っと、文字として大したことが書いてあるわけじゃありません。勢いで、描いてる感じなんです。「レゲエ × HIP HOP × ブレイクビーツ × ハードロック! 元祖ブリティッシュミクスチャー」がどうしたこうしたとか、まあ普通に読むと意味不明なことが、勢い良く描いてあります。好きなジャンルが重なっていれば、なんとなく想像出来なくありません。ことばの正確さは、ほとんど関係ないですよね。
メジャーなCDではなく、バイヤーが自分が見つけて仕入れたものをプッシュするために、POPを描いているんだから意気込みが違います。
そんななかからタワーレコードでは<タワレコメン>として全店でプッシュしたり、お店単独のレコメンとして打ち出す場合もあります。

ニッチですし、CDというパッケージが、すでにイケテナイものになりつつあります。リアル店舗で先読みの「わかってる感」がなければ、ベストセラーやアイドルだって売れないでしょう。わざわざ実店舗まで足を運んでくれて買ってくれる意味は、「詳しくて、わかってる人がオススメしている感度の高さ」という付加価値。
欲しいものがハッキリしている時は、そんなの関係ないですが、良さそうなのはないかなと探している人には、詳しい人がオススメしてるのが一番ですよね。
え、そんなのごく一部だろって? それが店頭での賑やかしですし、チャートなどにランクインしてる、どこでも買えるCDを買う人にとっても、ブランディングになっているんだと思いますよ。



2013年7月5日金曜日

ソーシャルシフトとGoogle+ [その2]

[その1]の一番下で、『ハスラー』という書籍を紹介しています。ハスラーとは、客引きという意味で、アメリカの「プロフェッショナルたちは、ICTの発達により、高学歴・有資格・専門知識だけでは“取るに足らない存在”になる」と書いてあります。
この本に登場するのは弁護士や会計士など国家資格が必要な職業が中心ですが、それでも「能動的に自らの能力を広報し、クライアントに営業しないと、これから先は難しいよ」というような論を展開しています。

最近、インターネットによる学びで、たいがいのプロは“知識”ということでは不要になるという主張があちこちで語られています。スガタ・ミトラという認知科学やA.I.が専門のMITの客員教授は「インターネットによって画一化を旨とする教育システムがやがて消滅する」と予言しています。「これからの時代、資格試験や卒業証書などは無意味になっていくでしょう。それよりも何ができるのかが問われます」と。

知識以外でも、やはりMITのふたりの教授が書いた『機械との競争』や、『ワイアード』US版編集長 クリス・アンダーソンの『MAKERS』では、要するに人間の技術がマシンに取って代わられるという趣旨のことが書かれています。






話を元に戻します。私がちょうど『ハスラー』を読んでいる頃のこと、知り合いがLinkedInで転職したことを知って、けっこう衝撃を受けました。その人は日本企業のアメリカブランチに勤めていた人で、中間管理職。それがLinkedInで、アメリカのグローバル企業の日本ブランチからオファーを受けた。
驚いたのは、その中身。英語でこれまでのキャリアをまとめた職務経歴書を書き、仕事以外の活動も記載。それだけではなく、上司や取引先に推薦文を書いてもらったそうです。まったく私には感覚的に、訳分からない内容で(笑)


日本にいる日本人にはどうもしっくりこなくても、海外にいる日本人にとっては当然のことなのかもしれない。次々に転職するのが当たり前だから、名刺を持っていても役に立たず、ビジネスならLinkedInにいることが、最低限のIDみたいなものなのかもしれないですね。



今回は、LinkedInやエリートの話? いえいえ、違います。ここからが、Google+のことです。たぶん日本人はSNSで、仕事とプライベートを明確に使い分けてる人って、少ないでしょう。エリート層以外はLinkedInへ、そんなに行かない気がするんです。英語がぺらぺらで外資への就職を考えている人や、用途によってプロフィールを使い分けている人ならまだしも。

ただ転職どころか会社の消滅したりとか、フリーランスやノマドになったりするがありふれたことになってきた今、居場所をソーシャルメディアの中に作っておくことが当たり前になってきている気はします、
年賀状ひっくり返したり、名刺を調べ直したりするのは、ビジネスでもプライベートでも、間もなく消滅するのではという気もします。

ケータイでキャリアを乗り換えて、メールアドレスが変わった。番号ポータビリティはあるけど、つながる人間関係をリセットしたいから、電話番号も新しくするとか。会社のメール、大手ポータルサービスのメールやモバイルのキャリアメールなどいろいろなメールを、G-mailに集約する人も増えているようですし。
アンドロイドを持つということは、Googleアカウントを作るということですし、Google+も作られてしまいます。あとは、本人が使って行くかどうか。



Facebookでは、なかなかそんな風には行きません。基本は日常的に個人的な楽しみで使うソーシャルメディア。
Google+はメールからマップからお店情報からソーシャルメディアまでが統合された、情報インフラとも言えるものではないでしょうか。SNSとしてだけ使いたいと思っても、知らず知らずに、他の機能も使っています。


SNSとしては、まず、つながり。Facebookでは詐欺容疑で立件されたネットサービスの社長と“友だち”になっている人には、同様のうさんくささを感じてしまいます。
Google+ではサークルに入れているか、いないか。入れられているか、いないかですから、つながり方は希薄です。その分、警戒心の強い人でも楽しみやすいかもしれません。

ただ、Googleが何を見ているかと考えると、まず誰とつながっているかでしょう。その次は、発信力とその領域。そして、コミュニケーション力。え、なんの話かわからないですか? 
このあたりは全部、私の推測です。Googleはこういう方向に行くしかないだろうと想像したものです。G-mailを使っていれば、メールの内容にあわせたリスティング広告が表示されるでしょう。いまのところ、Google+にそういう広告は出てきませんけど、少なくともGoogle+に書かれたプロフィールは、他のSNSと同様にマーケティングデータとして使うでしょう。そしてそれよりも、Googleが重要視しているのは、発信している内容とその領域とコミュニケーションだと思うんです。



なぜそんな風に想像するかというと、Googleは検索上からスパムを消し去りたいと血眼になっているはず。そんなこと書かなくても自明だと思いますが、ただのリンク集、まとめただけ、コピペだけで作られたサイト、そんなサイトが多いし、検索上位にも来るので、ペンギンアップデートやパンダアップデートをやっているんだと思います。
多くの人が騙されてしまう“なりすまし”や完全なパクリサイトは、人間が読んでもなかなか判断できないですし、パクっているだけなので更新が桁違いに速い。検索すると、そんなスパムが上位に来てしまうことが、問題になっています。



スパムじゃなくても、仮にですけど、あるジャンルの研究ブログの記事を抜粋し、まとめただけの「NEVER まとめ」が検索上位に来たら、おかしくないですか。ユーザー目線でいうと、まとめてくれた方が分かりやすい。気軽に読める。「NEVER まとめ」に載っていれば、流入も半端じゃなく、まとめた人にはお金が入って来る。
でも、オリジナルのコンテンツを作った研究者はたまったもんじゃない。Googleが、検索上でオリジナルをより上位に表示しなければ、単なる人気投票になってしまう。そういうジレンマを解消する方向を向いているのだと思います。


じゃあ解消するには、どうすればいいか。簡単に言えば、誰が書いているのかを特定すれば、それですみます。このウェブサイトは、ブログは、誰が書いていて誰が作っているのか、その署名があればいいわけです。その署名の裏付けとなるプラットフォームが、Google+だと私は思います。Author Rankという言葉がありますが、私はGoogleが導入しているのか導入していないのかは知らないです。ウェブサイトにAuthorを反映させるのは、技術的には簡単ですけど、単純にあなたがウェブサイトを持っているなら、Google+、あるいはGoogle+ページを連動させるだけでも、膨大な情報がGoogleに流れているのだと思います。

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企業・団体のウェブサイトなら、サイトの所有者を証明するpublisherを設定した方がいいと言われていますが、私はたぶん、ウェブサイトにGoogle+ページへの[ +1]ボタンを設置するだけで、ほぼ同様の効果があるのではと考えています。
お店などの場合はGoogleプレイスとGoogle+ローカルが統合されていますので、結局はGoogle+ページ。そのGoogle+ページを管理しているのは誰かという信用の問題になると、個人のGoogle+に行き着きつくのではないでしょうか。




たとえば、あなたが料理に関するウェブサイトでビジネスをしていたとします。Google+のプロフィールには料理研究家と書いているのに、料理に関する投稿がまったくない。飲食業会や料理人たちもサークルに入れていない、入れられてもいない。となると、料理のなんらかのオーソリティとは、なかなか思ってはもらえない。逆ならば、この人は間違いなく料理関係のオーソリティだと判断できる。


コメントを書いたり、書かれたり、そのコミュニケーションはどうか。ポジティブなワードが多いか、ネガティブなワードが多いか。あるいはbotのように紋切り型のコメントを繰り返しているか、+1しているだけか。そんな判定は、Googleのアルゴリズムなら簡単でしょう。なぜ、そんなことまで必要なのか。
炎上マーケティングのとりあえず目的は、トラフィックを一気に増やすこと。たぶん今のGoogleのアルゴリズムは、その膨大なアクセスが、ネガティブなものかポジティブなものかを判断できません。Google+内でのコミュニケーションなら、その手の手法や悪い癖の判別は簡単に出来るし、ネガティブな人の評価を下げることもできます。

「食べログ」では、やらせ問題が起こりました。でもGoogle+ローカルでは、Google+に登録している人しかレビューを書けません。おかしなことばかりを書いていれば、排除されるでしょう。
こういう構造は、ウィキペディアでも同じでしょう。登録利用者になるか、IPアドレスが表示される匿名利用者になるか。ウィキペディアは信頼性を、そういう仕組みで保っています。かつては、こんな出来事もありました。

今後もしGoogle+が求人市場に乗り出せば、ブラック企業判定も簡単に行なわれかもしれませんし、人物評価もやるでしょう。オークションやフリーマーケット的なことをやったとしたら、利用者に評価してもらうだけじゃなく、それ以前にGoogleが評価していて表示順位を操作するかもしれません。




LinkedInで転職した知り合いが、上司や取引先の人から書いてもらったリコメンドによる「客観的な信用度の向上」。それと同じようなことが、Google+では日々、ほぼ自動的に行なわれていると考えることが出来るのではないでしょうか。
なんか、なんでもかんでも把握されたり、評価されるのって、私は気持ち悪いですけどね。でもインフラとして無料で使っているなら、ある程度はしょうがないかなという気がします。



[その3]に続く