2015年3月27日金曜日

ドヤリング消費って、あなどれないかもしれない


3年ほど前から、ドヤリングとかドヤラーという言葉が出回っています。スタバでMacBook Airを広げて、ドヤ顔で仕事したりする人のことをドヤラーと呼ぶそうです。いや、スタバじゃなくてもMacBook Airじゃなくても、ドヤリングと言ったりするそうですよ。
私も家ではMacBook Airを使っていますが、外に持ち出すことはまずありません。スタバに行くこと自体がめったにないですし、カフェなどで仕事をしようという気にもならないです。

娘の結婚式で沖縄に行った時は、ホテルに持ち込んで、朝晩仕事をしていました。空港の手荷物検査でカバンから出さなきゃいけなくて、あわてました。いくらAirが軽くても、あまり持ち歩きたくないです。

ドヤリングなんて、ノマド有名人のセルフブランディングに毒されてる。そう思っていたら、現実につながりある人ふたりから「RetinaディスプレイのAir持ってドヤりたい」と聞かされたので、そういうものなのかと。ただスタバの前は毎日通るけど、Air広げてる人はそんなに多くないよなぁ。ドヤりたい人って、少ないんじゃないのというのが実感です。

ところが先日ふとスターバックスの二階を見上げると、ずらーっとMacBook Airが並んでいました。ウソみたいです。




6席のカウンターのうち、5人がノートパソコンを広げていて、そのうちなんと4人はMacBook Air。Airの市場シェアがどれぐらいなのかは不明ですが、Free Wi-FiでSNSアカウントで手軽にログインできるとしても、どうもスタバは特別な場所ですね。


帰りにQ-FRONTのスタバを見上げても、渋谷のスクランブル交差点を見下ろすカウンター席で、ノートパソコンを使っている人は3人程度でしたが、MacBook Air以外は見当たりませんでした。
もっともこのスタバは世界有数の売り上げを誇っているそうで、ドヤリングするよりも、交差点を見下ろしながら飲食するのが主目的でしょう。このときも、立ったまま交差点を見ている人が何人もいました。
Gigazine:世界有数の売上げの渋谷スクランブル交差点前のスタバに行ってみた


ドヤラーは、ドヤれているのでしょうか


この人たちは、ドヤっと周囲の人に見せているのでしょうか。どうも、そんな意識には思えません。誰かから羨ましいと思われなければ、ドヤっても意味がありませんよね。Twitterで探してみました。
画像も一緒にツイートしている人は、多くありませんでした。ですが、こんなツイートを見つけました。


ディスプレイにiPhoneやiPadを固定して、サブディスプレイ化して使えるマウントアダプターだそうです。なるほど、仕事できそうな感じです。あっと仕事かどうかは不明ですが(笑) 
何をしていようが、ともかく一見して違いがわかるツールだということですね。これなら、羨ましいと思われる確率も上がりそうです。スタバじゃなくても、会議でドヤリングしたら、注目を集めそうですね。

買う/使うのがドヤるためというより、ほぼ持っていることが目的という場合もありますよね。
iPhoneやiPadをお持ちになっている経営層の方は多いですが、使いこなすはるか以前だという話をよく耳にします。メールの設定を、部下にやらせたりとか。
それぐらいなのに買うのは、触れておきたい・持っておきたいということでしょうか。実際に「新しいのが出たら買うけど、ほとんど使わない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

そう考えると、前に「Apple Watchが、ゴールドを出す戦略性について」を書きましたが、Apple Watch Edition、しかもゴールドなら、持っているだけで誰からでも違いを認識してもらえるから買うという人がいても不思議じゃなさそうです。
かつてノートパソコンでDTM(音楽を作ること)が出来るようになったころ、キャバクラに持ち込んで作った音楽を聴かせる人がけっこういたなんて話があります。今年の春は高級クラブで、Apple Watch Editionのゴールドでドヤリングする人が出てくるでしょう(笑)


ファッションのトレンドを引っ張っているのは、ドヤリング消費


女性のブランドもののバッグや財布。そして長いツケマやヒールの高さなど、年齢を問わず、コンサバからギャルまでクラスタを問わず、昔からドヤリングが盛んです。マウンティングとまでは行かなくても、仲間意識と競い合いのバランスはなかなか不思議です。
それで毎年登場するあたらしいファッションが売れているのも、否めないところ。

男性だってかつては、スーツによる序列意識が強かったと思います。でもいまやスーツ市場はどんどん衰退し、お金をかけること自体がバカバカしいと感じている人たちも少なくないでしょう。
だけど小さいとはいえファッションでの流行がなくなったわけでもないですし、その中でもドヤリングは目立ってきている。いや、それしか強いトレンドにはならないんじゃないのと私は思います。


レディスではユニクロも出しているぐらいで、アンクル丈のパンツが多くなっています。それを受けるように、メンズでもくるぶし丈のパンツやデニムが増えています。
この冬もアパレル関係の人は、くるぶし丈で、しかもソックスを履いていないのか足首見せをしていました。おじさんまでやっていて、レザーシューズで足首見せをしていました。見ていて、ブルッと震えるほどです(笑)

やはりレディスからの流れで、スウェットパンツも一部で流行しています。スウェット地自体、数年前にジャケットが流行りましたが、それでもパンツは部屋着かパジャマにしか見えません。
私の知る範囲ではトム・ブラウンが出して以降、多くのブランドでスウェットパンツが出てきました。トム・ブラウンは、なぜだかいつもパクられまくりのブランドです。



部屋着ではないことをアピールするためか、多くがテーパードやリブ付きになっているのですが、それでも着る人を選び… ますよね。モデルのような容姿じゃないと、寝起きの格好のまま出かけているように見えがちです。

ところが六本木などでは、これに“レザーシューズで足首見せ”しているおじさん達を見かけます。20代ぐらいでしている人は多くがスニーカーで、白やカラフルなソックス見せですが、足首見せはまだまだ寒いはずです。
女性の3首見せは、若くても気合いで我慢しているそうですが、男性の場合はどうなんでしょうか。

している人は、アパレル関係ではない雰囲気。くるぶし丈でスウェットパンツで足首見せというトレンドのトリプルコンボなので、間違いなくドヤリング。
ファッション好きで自己満足というより、寒いけどトレンドで固めていますよというアピールでしょう。


ソーシャルメディアで投稿する誰もがドヤラー


自撮りした写真を投稿するのもそうでしょうし、ラーメン二郎でラーメンを撮ってツイートしたりブルーボトルコーヒーの店内を撮影してFacebookに上げるのも、何かのアピール。
それで誰に羨ましがられるかというと、同じ価値観を持つ人たち。
スウェットパンツと足首見せがトレンドだと知っている人にしか、トレンド性に気がついてもらえません。しかも「してみたい」と思っている人にしか、羨ましがられません。
ラーメン二郎のインパクトある写真は、ファンであるジロリアンに「くそー、こんなマシマシ食べたい!」と思ってもらえるでしょうし、羨ましがられるでしょう。
ブルーボトルコーヒーを「昔の日本の喫茶店じゃんか」と思ってる人には、行列さえもバカバカしく感じられるでしょう。

一時期Facebookのリア充ぶりが嫌だという意見が席巻し、退会者も増えたようですが、どんな投稿だって同じ価値観を持っている人にしか受け入れられないと考えた方がいいのではないでしょうか。

私はGoogle+で週に1度ほど、猫のコミュニティに投稿しています。その投稿の半分ぐらいは、一般公開で再共有しています。猫のコミュニティは人数が多いですし猫好きの人ばかりですので、当たり前ですけどとても反応がいい。


この時はコミュニティで+1が151人ですが、一般公開では4人。それぐらい差があります。
ところが私が猫の写真を投稿することを、ある知り合いが「モテ狙いだ」と言います。どうして猫の写真が、Google+内のモテにつながるのか理解に苦しみます。
これを言った人は、東大卒でニューヨーク在住のリア充もリア充。エリートですが勉強が出来過ぎて、ちょっと精神が病んでいるのだと思います(笑) 
ともかくこの人には私の猫の投稿が、ドヤっていると思われたのですね。猫のコミュニティ内では、こんな面白い写真が撮れましたよというアピールではありますが。

こういう風に価値観を共有しない人にもアピールしてしまうケースも含めて、意識する・しないに関係なく、投稿すること自体が見ている人からすればアピールだし、ドヤリングかもしれません。


私だって個人のアカウントで投稿するときは、狙ったり考えたりするわけではありません。でも仕事で運用するときは、もちろん狙いまくり考えまくりです。今までに何度も書いている通りです。

就職に、仕事に、婚活に、モテに。ソーシャルメディアで発信することが重要だと言われ、この先も場所が変わったとしても重要度が減少することはないかもしれません。
他人からの評価が意識されればされるほど、意識するならするほど、ドヤリングによってモノ・コトも消費されるのが当たり前の流れのようですよ。


 株式会社イグジィット ウェブサイト





2015年3月13日金曜日

Apple Watchが、ゴールドを出す戦略性について


来月下旬に発売が決まったというApple Watch。テック系ネットメディアでは、Apple Watchは優れものという評判から、どうもApple Watch Editionの値段やイエローゴールドやローズゴールドを出すことに納得いかない、大バカ発見器じゃないかといった、ネガティブな方向にシフトしているようです。
Techcrunch
18金のApple Watchは理想的な大馬鹿者発見器

私は長年のAppleファンですが、Apple Watchを買いたいとは、まったく思いません。時計的なものを手首に付けること自体、好きではありませんし、ウェアラブル端末としてのApple Watchにも興味がほとんど持てません。それに、いまだにiPhone5を使ってるぐらいですし。
でも、ゴールドを出すということを知ったときに、上手い戦略だなぁと思っていました。


あながち中国マーケットだけが、ターゲットじゃないと思う


Apple Watchは、価格帯順だと[Apple Watch Sport][Apple Watch][Apple Watch Edition]という3つのカテゴリーから、いくつものモデルが登場するといいます。ギークなら[Apple Watch]に飛びつきそうですし、RUNが趣味の人やウェルネスに関心がある人なら[Apple Watch Sport]に興味を持つでしょう。

じゃあ[Apple Watch Edition]は誰が買うのとなると、最安のモデルが128万円から最高額モデルは218万円ぐらいにもなるそうですし、出来ることは何も変わらないそうですから、そりゃあちょっと想像できません。 それで、大バカ発見器だのラグジュアリーを理解してないということになるのだと思います。中国市場がメインターゲットなんだという予想されるのも、ごく自然でしょう。


私も中国での販売がメインなんだろうなと思いますが、それ以外の国ではそれほど売れなくてもいいとAppleは考えてるんじゃないの。なんて想像しています。

iPhoneが登場した時は、ケータイ電話の代わりというよりも、それまでにない市場を創造しましたし、さまざまな秩序も組み替えてしまいました。今、電車の中でもどこでもゲームをする人をどこでも見ることが出来るのは、スマホがプラットフォームになっているから。任天堂が赤字になったのも専用機が売れないからだそうですが、だとすればその発端は、iPhoneの登場でしょう。

Apple WatchはiPhoneと連携して使うものなので、iPhoneより売れることは想像しにくい。でもスマートウォッチを売ること自体が目的ではなく、Apple Watchを出すことによってプラットフォームとしての幅を広げたい。今までに届かなかった層を取り込みたいと考えているのではないでしょうか。
そういうことなら、iPhone以外のスマホを使っている人や、Appleファンではない人たちを取り込むための戦略ツールだと思えます。特に世界の富裕層を取り込めたとしたら、とんでもないメリットがあるでしょう。


iPhone 5sで最も品薄だったゴールドモデル


出荷台数でどうかは分かりませんが、iPhone 5sの入荷待ち、発売から約1ヶ月の時点でゴールドモデルは、約1ヶ月だったんですよね。
Gizmode
auとドコモもiPhone 5sの入荷待ち日数を公開。ゴールドはどちらも約1ヶ月待ちみたい 

iPhone 5にはなかったゴールドが5sに登場した希少性が理由かもしれないですが、ゴールドが人気でした。

Appleが5sで最初に流したCM


廉価版iPhone 5cのcは、カラフルを意味しているそうです。カラーだけで見た場合、iPhone 5からs、そしてcへの展開は、Apple Watchとほぼ同じですよね。
そう、似たようなカラー展開は2年前に経験済みです。


Apple Watchのゴールドは、特許!?


WIREDが、Financial Timesの記事を引用して、“18金と比べて2~4倍硬く、3Dプリントに似た製法で複雑な部品をつくることができるという「金金属基複合材料」の特許”だと書いています。金とセラミックスからなる複合材料なんだそうです。
ほとんど理解できませんが、Apple Watchは特別な金を使っているということだけは分かりました。
WIRED
Apple Watchに採用された「アップルの黄金」特許とは

Appleは、Apple Watch Editionのゴールドをアピールする動画を公開しています。


他社は真似できないゴールドだってことですね。
だからってApple Watch Editionのゴールドモデルが、安いのか高いのか妥当なのかはまったく分かりませんが、プレミアム感は満点です。こういう話題もこれから広がっていきそうです。


日本では、Apple Watch Editionを特別な場所でしか販売しない?


同じゴールドといっても、iPhone 5sはシャンパンゴールド。白っぽくて、上品です。Apple Watch Editionはイエローゴールドやローズゴールドで、公開されている写真を見るとギラギラしています。中華圏ではともかく、日本では色としてどのぐらい受け入れられるでしょうか。

そんなことを思っていたら、DOVER STREET MARKET GINZAがこんなツイートをしていました。
ドーバーストリートマーケットとは、コムデギャルソンの川久保玲さんがプロデュースするセレクトショップで、ロンドンとニューヨークと銀座にしかありません(北京にもありますが、セレクトショップではないようです)。

銀座は六階建てで、コムデギャルソンの全ラインのほか、国内のブランドや海外のハイブランドが多数入っています。セレクトショップといっても、川久保玲さんをリスペクトするデザイナーたちが参加しているので、ドーバーにしかない限定商品が数多く並んでいます。
こんなショップはどこにもないので伝わらないと思いますが、私が数回入ってみた経験だと「いったいどんな人が買うんだろ?」という商品がほとんど。値段もデザインも日常的に着られる服ではありません。Appleより長くギャルソンファンをしている私が、転けそうになるほどの緊張感ですから(笑)



ウェブサイトでも、WHAT'S NEWに大きく出ています。
DOVER STREET MARKET GINZA

私はそうか、Apple Watch Editionはドーバーで売るんだな。そういうことなら、やっぱり、それほど数量を売るつもりはなさそうだと思いました。
きっとドーバーストリートマーケット銀座は、トム·ブラウンやルイ·ヴィトン、セリーヌ、サンローラン、ミュウミュウなどの巨大なハイブランドにとっても、従来の顧客とは異なる層にアピールする場所。通常のデザインや売り方とは異なるクリエイションを見せるショールーム的存在なのだと思います。銀座なので、ほど近いところに、直営店などがあるのですから。もちろんAppleだって、Apple Store銀座があります。

巨大なハイブランドは、ドーバーで飛んだデザインを見せてイメージを上げて、直営店などで売れ筋を売る。それが方程式なのだとすれば、Apple Watch Editionも似たことを狙っているのかもしれません。
ドーバーストリートマーケット銀座をショールームのように使い、他のカテゴリーのApple WatchをApple Storeやネットで販売するのがメインなのかも。あくまで、想像でしかないですが。

どこで売るのか、検索してみました。すると“高価な、Apple WATCHや、Apple EditionをApple Storeで青いTシャツで、立ちっぱなしで販売するという偉業は、さすがのAppleも敬遠した。”と書いているサイトがありました。
KandaNewsNetwork
2015年4月10日には、東京伊勢丹にApple WATCHを見に行こう!

こちらのサイトによると、「Apple Watchのお求めは世界の有名百貨店で!」ということのようです。日本では伊勢丹新宿本店以外に出てきません。
こんな風にも書いてあります。

Appleのライバルは、少なくともApple WATCHの場合は、GoogleやSAMSUNGやLGやSONYやMicrosoftではなく、TAG HEUERやOMEGA、BREITLING、ROLEXなどの時計ブランドなのである。そこの市場だけではなく、Appleが、テクノロジーをベースとした時計ブランドの戦略で考えれば、帽子のCHANELや旅行カバンのLOUIS VUITTONや馬具のHERMES、万年筆のMontblancが時計を販売するのと同様に、コンピュータや電話を作っていたAppleというブランドが時計をだしただけという解釈もできるのではないだろうか?
ブランド戦略なのは間違いないと思いますが、時計ブランドというよりも、従来の商品カテゴリーにとらわれない、むしろカテゴリーを破壊するための商品がApple Watch。
そしてその中でもApple Watch Editionは戦略商品なので、従来のファン層ではない人たちにアピールするために、特別な特許ゴールドを使っているのではないでしょうか。


そう、とても買えない私が想像してみました。
いやどうせセレブリティ以外に、売る気はなさそうです(笑)




 株式会社イグジィット ウェブサイト



2015年3月6日金曜日

スマホ対応したら、どの程度順位が上がるのか、まずそこ


2月下旬、「Googleがスマホ対応しているかどうかをモバイル検索のランキング要因として使用することを発表。4月21日からの導入予定」という話題が出て以来、さまざまなウェブ系のサイトで、どうするのかという記事が出ています。
最初に出されたのは、たぶんこちら。
海外SEO情報ブログ

昨年11月19日、Googleが「モバイル版の検索結果に [スマホ対応] というラベルをつける」と公表した日、帰宅する電車の中で[モバイルフレンドリーテスト]をさんざんやって、すぐブログに書きました。
Googleの[モバイルフレンドリーテスト]をやりまくって理解したこと

この時は、Googleのいうモバイルフレンドリーは常識的なところだよな。むしろこの内容は甘いんじゃないの、ぐらいに。
それが、4月21日前後からモバイル検索に反映させるとのこと。素早いですね。


「モバイルフレンドリー」だったサイトにも、問題検出のお知らせが


うちで管理させていただいているサイトに2月上旬「モバイル ユーザビリティ上の問題が検出されました」というお知らせが来ていました。

リニューアルさせていただいて、予算の都合上、モバイル対応は最低限のところしかしていませんでした。当初、[モバイルフレンドリーテスト]では、モバイルフレンドリーですと出ていたのです。その後、Googlebotが対応していないところを見つけたということですね。さすがです(笑) 
ただスマホ検索すると、 [スマホ対応] ラベルは付いています。

「モバイル ユーザビリティ上の問題が検出されました」というお知らせが来た時も、そして4月21日ごろから順位に反映するそうですよということも、その都度、クライアントに伝えています。
その都度、どう思うかを聞かれました。制作会社としては、売り上げが上がった方がいいので、もちろん対応する方がいい。でも、その予算がない。
いや、あるない以前に、あまりモバイルを重要視されていないのです。

正直に、 [スマホ対応] ラベルは付いているのだし、最適化したところで、どれで順位が上がるかというと疑問だとお話させていただきました。しばらくして、対応具合がどうランキングに影響するかは不明ですが。

それよりもどういうターゲットで、どういうワードで検索されるかを想定しないと、最適化する意味があまりない。
レスポンシブデザインにして、PCで作っているコンテンツのすべてをスマホで見せたところで、誰も見ないし、たいがいはナビゲーションがユーザーフレンドリーではなくなります。Googleの基準よりも、まずアクセスしてくれる人を大切にしないと。

とまあ、そんな風に書いていると長くなるので、私が思うポイントだけを書いておきます。


ECサイトなら、今すぐに [スマホ対応] すべき


アクセス数だけではなく、今後ますますスマホからの購入が増えるのは間違いないでしょう。ECサイトでは、キーワードを考えることも大切ですが、どんなワードで流入されるかが分かりません。
長時間スマホをいじっている人は、スマホの中で暇つぶしから買い物まで、完結してしまう可能性が高いはずです。

ジェイアール東日本企画から、第一回交通モバイル調査の結果が発表されています。
もちろんJR東日本のハウスエージェンシーですし、交通広告に接触した人が対象ですから、強いバイアスはあると思います。それでも「交通広告接触後に、3割の人が車内で検索、2割がSNSで拡散、商品を購入」というのですから、驚きです。
2015.2.26 交通広告はトレンド情報、モバイルは詳細情報

特に20代男性は、40.7%が「実際に商品を購入した」となっています。


もちろんモバイルで購入したとは限りませんが、情報を調べようと検索したときに出てこなければ機会を失います。ECサイトなら、否応なく対応が必要です。対応はGoogleの指摘通りにやればいいだけです。
それが最低の基準だと思います。


社名やブランド名での検索がほとんどなら、部分的な対応でもOK


すべてのページを対応させるのが、もちろんいい。でも予算が厳しく、あまり振り分けられないのであれば、一部だけの対応でもいいのではないでしょうか。
ECサイトではない、社名やブランド名が知られている、B to Bなどで、スマホから検索される時のキーワードがほぼ特定される場合、Googleが何を言って来ても、必ずしもすべてのページを対応させる必要はないと思います。

たとえば採用活動に力を入れている場合は、PCで出しているリクルート関連の情報を、スマホ用にコンパクトに再編集するなどすればいいのではないでしょうか。レスポンシブではなく、アクセスして来たデバイスによって振り分ければいいだけです。


モバイル ユーザビリティよりも上位に表示される要因もある?


Googleは、ランキング要因に使うと言っているだけです。対応したからといって、一位になるわけではありません。モバイル ユーザビリティとランキングは必要十分条件の関係ではなく、他の要因が強く影響を及ぼすことも考えられます。
現状で見てみましょう。

スマホのGoogle検索で、オーガニックで[表参道 パンケーキ]を検索してみました。結果は下の画像の左側です。


一位は「レインボーパンケーキ」のGoogleマップ/プレイスの情報ですね。Googleプレイスに関しては、何度も書いていますので、そちらをお読みください。
リアル店舗が、Googleの仕組みを知らなかったら困っていた実例

二番目以降には、まとめ、グルメサイト、情報サイトと続きます。6番目にやっと「カフェ・カイラ」が入ります。
そして一位の「レインボーパンケーキ」には詳細まで付いていて、タップすると右の画像のようになります。電話・経路検索・ウェブサイトまで出て来て、口コミ、やっとその下に二番目以降の検索結果が表示されます。口コミは、Googleプレイスです。

仮に、どこのパンケーキ店に行こうと、あらかじめ決めずに原宿駅などに降り立って検索したとしたら、「レインボーパンケーキ」が圧倒的に有利です。

この結果が4月21日以降、どう変わるでしょうか。
私の予想では、「カフェ・カイラ表参道店」が下位にポンと追いやられるぐらいだと思います。「カフェ・カイラ表参道店」はこの時点で [スマホ対応] ラベルが付いていません。
一位は「レインボーパンケーキ」はどうでしょうか。Googleマップ/プレイスの情報が有利なのは、変わりなさそうです。
まとめ、グルメサイト、情報サイトもスマホ対応という要因では、変わらなさそうです。


スマホファーストは、ユーザーファーストの再編集が必要に


Googleの考えるモバイルフレンドリーは、こういうことです。
検索結果をもっとモバイル フレンドリーに

今の段階では、Googleの忠告に従ってモバイル対応しておけば、モバイル検索での順位が下がることはなさそうです。でも上がるのは、きっと別の要因。
また検索ランキングではなく、本当にユーザーのニーズに合致しているかどうか、使われるシーンに向けて作られているかどうかということだって、とても重要です。

上に書いたジェイアール東日本企画の調査結果を信頼するなら、スマホで何でも完結する人が急増しているように思えます。空き時間の奪い合いは、とんでもないことになっているようです。どうせ対応するならPCメインの従来の発想ではなく、スマホファーストで考えるのが当たり前のタイミングだと思います。



 株式会社イグジィット ウェブサイト