2015年12月11日金曜日

Amazonが仕掛けるサイバーマンデーは、日本で定着するだろうか



Amazonが、12月7日からサイバーマンデーをやっています。テレビコマーシャルをはじめ、電車の中吊り、ネットのバナー広告、Twitterの広告やハッシュタグを付けたツイートなど、大規模なプロモーションをしています。
それでも「サイバーマンデーって、いったい何? セールじゃないの?」と思う人が大多数ではないでしょうか。

私は、いまだにそう思っています(笑) 今年、はじめてGAPが[BLACK FRIDAY]とショーウィンドウに出していたのを見て、ひょっとしてアメリカ資本の企業が仕掛けはじめたのかな、と思いました。
Amazonのサイバーマンデーというタイトルのセールは、12月14日まです。



感謝祭からサイバーマンデーまでの流れ


そもそもCYBER MONDAYの前にBLACK FRIDAYがあり、そして何より感謝祭があるのです。流れをまとめてみました。


感謝祭のことは知っていましたが、BLACK FRIDAYは数年前。そしてCYBER MONDAYは昨年やっと知りました。
感謝祭(サンクスギビングデー)は、アメリカとカナダの祝日なので、日本にいたら何にも関係ないですよね。アメリカ資本の会社と関係していたら、アメリカ本社がお休みで仕事が滞るとか、そんなぐらいの影響。

アメリカでは感謝祭翌日のBLACK FRIDAYが狂乱セールになることは、何年か前にネットメディアで知りました。YouTubeに何本も動画が上がっています。でも感謝祭もBLACK FRIDAYも関係ないのに、CYBER MONDAYだと言われても、なんだかしっくり来ません。この時期のセールは、楽天やYahoo!ショッピングだってやっています。
どうしてアマゾンは、ここまで力を入れているのでしょう。



日本で申請したサイバーマンデーは、アメリカより遅い


2012年、日本のAmazon.co.jpが「日本記念日協会」に申請し、記念日に認定されています。記念日になったからどうだということはありませんが、前にも書いているように、記念日になっていると、とりあえずソーシャルメディアで話題になりやすいのです。
【Twitter】トレンドの具体的な乗り方の初歩と、注意すべきポイント

日本記念日協会のサイトで、Cyber Monday(サイバーマンデー)をクリックすると、こう表示されます。


12月の第2月曜日ですから、アメリカのCYBER MONDAYよりも1週間ほど遅い。ということはAmazonでは「感謝祭に関係ない」オンラインの年末商戦のネーミングを、CYBER MONDAYにしたということですね。



サイバーマンデーに、オンラインショッピングサイトを訪れた米国人は1億780万人


あくまでCyber Monday、今年は11月30日にショッピングサイトを訪れたアメリカ人は2014年から23%増加したそうです。そしてIT Proには、こう書かれています。
この日に最も訪問者が多かったオンランサイトは「Amazon」で、そのあと「Walmart」「eBay」「Target」「Best Buy」の順で続いた。
米サイバーマンデーのオンライン支出、初めて30億ドル突破

比率や個別の売り上げは出ていませんので、なんとも言えませんが、仮にAmazonがだんとつの1位なら、Cyber Monday=Amazonというポジションなのかもしれません。
1億人以上が訪れているのなら、CYBER MONDAYという名称はアメリカではポピュラーなのでしょう。日本でもCYBER MONDAYが広く認知されれば、Amazonはとても有利です。なんといっても、他では見かけません。

CYBER MONDAYばかりか、実店舗でBLACK FRIDAYを見たのはGAPだけです。アメリカ資本のアメリカン・アパレルはサイトでBLACK FRIDAYの説明をしているものの、オンンラインのセールでCYBER MONDAYという名称を使っていないようです。



Merry Christmasではなく、Happy Holidayを使うのと同じ構造かも


2013年2014年と、こんな記事を書きました。
Happy Holidaysが、海外では一般的なんですか?
驚くほど[クリスマス]という言葉が使われなくなっています

今年はさらに、Merry Christmasを見かけなくなりました。渋谷で見ることのできるグローバル企業では、ということですが。Merry Christmasをメインに使っているのは、ZARAだけでした。クリスマスはあくまでイメージとして使っているだけで、言葉としては消えつつあるのではとさえ思えます。

感謝祭もまた宗教色が強く、もしかすると先住民であるインディアンに配慮していない祝日なのかもしれません。アメリカ発のグローバル企業にとって使いづらい、あるいはリスクのある言葉なのかもしれません。
そこでAmazonは、少なくとも日本においては感謝祭やBLACK FRIDAYから切り離して、オンラインショップ最大のお祭りとしてCyber Mondayを仕掛けているのではないかという気がしてきました。


そんなことを思っていたら、こんな記事に行き当たりました。
昨年のウォールストリートジャーナルです。

中国は感謝祭やクリスマスを公式に祝わないが、米国の小売り大手は中国の消費者世代を年末商戦期の買い物客として何とか取り込もうとしている。
 今週から、中国の買い物客は米国のメーシーズ、アメリカン・アパレル、ギルト・グループなどのオンライン店舗で感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」(今年は11月28日)の割引が受けられる。これは米小売り各社が、オンライン電子決済サービス会社「支付宝(アリペイ)」と提携したことで可能となった。

米小売り、ブラックフライデー商戦に中国も巻き込む
やっぱりポイントは、宗教ですよね。アリペイは、アリババグルーブだそうです。



日本でもファッション感度の高い層には定着してきている説


一方、海外ブランドが好きなユーザーはサイバーマンデーに関心が高いのではないか、海外通販サイトへのアクセスが増加していると書いているファッションサイトもあります。

グローバルファッション検索サイト「SHOPSTYLE」の発表では、昨年のデータで日本版SHOPSTYLEにおける海外通販サイトへのアクセス数が前週と比較して85.5%増加。400ドル以上のアイテムも売れているというのです。前週とは11/20〜26で、比較したのは11/27〜12/3で、日本からのアクセス増加率は16.6%だそうです。
「サイバーマンデー」は日本でも大きな商機に? 海外通販サイトへのアクセス8割増

これは感謝祭とかCYBER MONDAYとかは、関係なさそうです。そもそもSHOPSTYLEは世界最大のファッションやビューティ専門の検索サイトで、SHOPSTYLEで探したり比較しながら、それぞれのブランドの海外通販サイトへ飛んで購入するというもの。
これを使っている人はグローバルに買い物しているということですから、アメリカで安くなるタイミングを知っている可能性だって高くて当然です。

中国には中国のECサイト経由で進出するのは、たぶん関税の問題。それ以外の国へは、SHOPSTYLE日本版のやり方だってあるでしょう。ファッションに関しては、やりやすそうです。
グローバルのサイトから直接htmlメールで送ってきた例もあります。



これはadidasがやっているY-3からです。一応コードにモザイクをかけましたが、意味はなさそうです。OFFER VALID JUST ON MONDAY 30 NOVEMBER.とありますから11月30日月曜日だけ有効のようですね。
以前からCYBER MONDAYだけ、コードを打ち込ませて割引する手法は、あちこちであるそうです。ファッションのグローバルブランドでは、もしかするとかなり広がっているかもしれません。

家電や食品関連では、やろうとしても様々な障壁がある。だからAmazon.co.jpがやるのだと思いますが、宗教的な行事と切り離したときに使える名称として、すでに広がりつつあるCYBER MONDAYを選択しただけのようです。

ただCYBER MONDAYを説明しようとすると、今の段階では感謝祭からはじめなきゃいけない。そこは何年か経てば、ただ最大のセールの名称になってしまうだろうという狙いなのでしょう。

ところで日本でサイバーマンデーという言葉が広がる可能性は、どれだけあるでしょうか。
Googleトレンドで調べてみました。


2015年の12月、つまり今、急増しています。2014年までは英語でCYBER MONDAYの検索数がやや上回っていますが、今年は日本語でサイバーマンデーが急上昇です。
そして関連キーワードでは「サイバーマンデー Amazon」のみで100と出ています。この解釈は、きっと「サイバーマンデー」で検索しているは全員が「サイバーマンデー Amazon」で検索しているということで良さそうです。

だとすれば、すべてはAmazonのプロモーションの成果ということですね(笑) Yahoo!リアルタイム検索でも調べてみましたが、ほぼすべてがAmazonに関連しているようです。

定着するには、単独ではなかなか難しいと思いますが、Amazonのネット、その中でもTwitterでのプロモーションは他に類を見ないような規模になっているようです。テック系のネットメディアを中心に、Amazonサイバーマンデーも盛んに煽られていますし、少なくともAmazon最大のセールとしては、今年でかなりの認知度になるのではないでしょうか。





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